太陽光パネルとセットで設置する機械がパワーコンディショナー。太陽光パネルで集めたエネルギーを、家庭でも使える電気へと変換する重要な機械をパワーコンディショナーと言います。
このパワーコンディショナーを稼働させる際、モスキート音(モスキートーン)と呼ばれる音を発生させます。「蚊が発する不快な羽音」などと比喩されることがありますが、小さくて高い「キーン」という17,000ヘルツ前後の高周波音がモスキート音です。
パワーコンディショナーから発せられるモスキート音の騒音は40~50db(ささやき声や小さな声程度)と小さめですが、周波数が非常に高いため、その音を不快と感じる人が少なくありません。パワーコンディショナーを設置する際には、生活に支障のないよう設置場所をよく検討することをおすすめします。
なお太陽光発電に関連し、昨今では蓄電池を設置する家庭も増えてきました。夜間の割安な電力を蓄電し、電力の割高な日中にその電力を使用するためのシステムです。
蓄電池も稼働時には一定の音を発しますが、その騒音レベルは、一般に35~40db以下(図書館や静かなホテル程度)。通常はほとんど気にならない程度の騒音ですが、充電のため稼働する時間帯が夜11時以降となるため、寝室の近くなどに設置することは避けたほうが無難でしょう。
パワーコンディショナーは太陽光発電に不可欠な機器なので、設置しないという選択肢はありません。また、モスキート音の発生は製造時の不具合ではないので、修理などで低減することも難しいでしょう。どうしても気になる場合は、騒音に配慮したメーカーの製品を使用するか、パワーコンディショナーの場所を移動する、もしくは防音材などで騒音対策を行いましょう。
パワーコンディショナーには屋内設置型と屋外設置型があります。屋内に設置する場合は、廊下など、普段人があまりいない場所に設置するのがおすすめです。屋外に設置する場合は、隣家の窓などから離れた場所に設置するようにしましょう。移動が難しい場合は、防音パネルを設置するのも一つの手段です。
産業用の太陽光発電はパワーコンディショナーが大型化する上、使用台数も多いため、騒音を感じやすいでしょう。しかも、本体の稼働音だけでなく、冷却する空調設備も音を発するため、70dB程度の騒音になると言われています。これはセミの鳴き声や高速道路を走っているときの自動車の中と同レベル。近隣に住宅などがある場合、住民とトラブルになる可能性もあるので、騒音対策は不可欠です。
おすすめは、パワーコンディショナーを防音壁で囲むこと。パネルタイプやボックスタイプなどさまざまな種類があるので、パワーコンディショナーの大きさや設置場所に応じて適したものを選びましょう。
企業内に設置している太陽光発電パワーコンディショナーの騒音対策です。機械から発生する高周波音を防ぐため、防音をしたい壁を遮音シートと吸音材、鉄板でしっかりとガード。結果、約10dBの防音に成功しました。
太陽光発電システムを導入する場合に設置が必要となるパワーコンディショナーはモスキートーンと呼ばれる高周波の音を発します。防音パネルを設置することで高周波による騒音を改善することが可能です。防音パネルの導入で、48dBから38dBまで、約10dBの騒音の減衰を実現しました。
令和2年3月、環境省は太陽光発電設備の設置に関する注意喚起の一策として、「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」を公表しています。このガイドラインの中に、太陽光発電設備の設置における環境配慮のポイントとして、「土地の安定性」や「反射光」などと並び「騒音」という項目があります。
太陽光発電設備の騒音問題について、環境省の見解を見てみましょう。
環境省では、太陽光発電設備の騒音の発生源として、「パワーコンディショナー」と「パワーコンディショナーの空調機」の2つを挙げています。「パワーコンディショナーの空調機」とは、機器の熱負荷を抑えるための空調機器を指します。
パワーコンディショナー自体からの騒音は発電中に限られるため、通常、夜間に騒音が発生することはありません。一方でパワーコンディショナーの空調機については、発電中以外でも稼働する可能性があることから、夜間でも騒音を発生させることがあります。
住宅等の近くに太陽光発電設備を設置する際には、パワーコンディショナーの発電機からの騒音にも注意する必要がある旨、環境省は注意を促しています。
住宅等の近くに太陽光発電設備を設置する際には、「騒音に係る環境基準(平成10年)環境省告示第64号)を守るよう環境省は指導しています。
たとえば「第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域」の環境基準は、夜間が55db以下で夜間が45db以下です。
また、たとえ環境基準を下回る騒音レベルであっても、地域住民が不快に感じる恐れがある場合には対策を講じる必要がある、と環境省は説明しています。
意外と知られていない、太陽光発電の騒音問題。中高年層には聞き取りづらい音ですが、若年層など気になる方には非常に不快な音を発しています。設置する場所や機械の状態などによっては大きなストレスを感じたり、近隣住民とのトラブルを引き起こしてしまうので、場所を移動したり、防音材で囲むなど、対策を行いましょう。
防音専門メーカーの中には、騒音源の現地調査や分析を行った上で提案を行ってくれるところもあるので、対策にお悩みの場合は相談してみて下さい。
防音力の高い防音材メーカーをお探しの方へおすすめ!①防音材の品質で第三者機関から受賞されている、②対応できる周波数や騒音レベルの数値測定をし、それを公表している、という2つの基準から、防音材メーカー3社を厳選しました。それぞれ、得意な建物別に分類してご紹介します。
【選定基準】
2021年12月16日(木)時点、Google検索で「防音材 メーカー」で上位表示していた52社から、「防音材の品質について受賞歴(※)」があり、「対応できる周波数や騒音レベルの数値測定を公表」しているメーカーの中から選定。
「受賞歴」「数値測定を公表」しているメーカーの中ではそれぞれ…
・静科:19つのラインナップを揃え、一番製品のバリエーションが多く、対応範囲が広い
・ユニックス:大型公共施設の事例掲載が最多(2021年12月16日(木)時点)
・日鉄神鋼建材:道路・鉄道に特化した防音材のラインナップ
(※)防音材の品質で第三者機関から受賞されている(デザイン受賞は除く)