集合住宅でトラブルの原因になりやすいのが、床の騒音です。特に、人やペットの足音、椅子を引く音、スプーンや食器を落とした音、掃除機をかける際の音などは、直接床を振動させるため、コンクリート造のマンションなどでも響きやすくなっています。どんな音をストレスと感じるかは人それぞれな上、日常生活の中で出る音を完全になくすことはできません。しかし、床材や建物の構造に配慮したり、遮音材や吸音材などで2つの音を防ぐことで、音を気にせず生活することは可能です。
床の防音対策では、どんな点に注意すれば良いのでしょうか。効果的な対策を行うために、チェックしたいポイントをいくつかご紹介します。
音には、「空気伝播音」と「固体伝播音」という2つの種類があります。空気伝播音は空気を伝わって聞こえる音で、会話やペットの鳴き声、テレビの音などが該当します。固体伝播音は、壁・床・天井などの物体内を振動が伝播するもので、足音やドアの開閉、物の落下、機器の稼働音など。一般的に、空気伝搬音よりも制御が難しいとされています。
静かな空間を実現するためには、音だけでなく振動も遮断するのがポイント。適切な防音対策を施すことで、軽減させることが可能です。
床の騒音は、衝撃音の種類によって「軽量床衝撃音」「重量床衝撃音」に分けられます。「軽量床衝撃音」は食器を落としたときや椅子を引いたときなどに発生する「カチャン」「キキー」「チャリーン」といった高い音。「重量床衝撃音」は、で子どもが飛び跳ねる音、大人が歩く時に発生する「ドスーン」「ズシズシ」「ドンドン」といった重くて低い音のことです。 軽量床衝撃音は、床との間にカーペットやマットなどを敷くことで、大きな防音効果が期待できます。一方で重量床衝撃音は、振動が構造体を伝わって響いてくる音なので、対策が非常に難しいとされています。
アパートやマンション騒音対策では、防音性能に優れた床材や遮音マットを敷くのがおすすめです。ただし、マンションによっては床材の変更を認めていないところもあるので注意して下さい。また、シート状の薄い遮音・吸音材を貼るだけでは、十分な効果が得られない可能性もあります。日々生活する室内に使用するものなので、断熱性能や、有害物質を出さない製品であるかも大切です。
企業のOAフロア(フリーアクセスフロア)での防音対策事例です。OAフロアをショールーム的な仕様に変更し、不特定多数の人・モノが稼働しても、歩行音や衝撃音を階下に響かないよう施工。床厚は100mmとなりましたが、施工後お客様から高い評価をいただきました。
防音ゴムにより、住宅の相応を防止した事例です。階下への騒音が気になる2階の部屋に防音床を使用したり、二重床やユニットバス用に足ゴムを導入。騒音を緩和し、快適な生活環境の創出に成功しました。
一口に床の騒音と言っても、音の種類によって適切な対策は異なります。マンションやアパートなどではできる対策も限られますが、遮音したい目的に応じて、相応しい素材の遮音材や防音材を使用・併用すれば、音を低減することは可能です。
防音専門メーカーの中には、騒音源の現地調査や分析を行った上で適切な提案をしてくれるところがあるので、対策にお悩みの場合は相談してみて下さい。
防音力の高い防音材メーカーをお探しの方へおすすめ!①防音材の品質で第三者機関から受賞されている、②対応できる周波数や騒音レベルの数値測定をし、それを公表している、という2つの基準から、防音材メーカー3社を厳選しました。それぞれ、得意な建物別に分類してご紹介します。
【選定基準】
2021年12月16日(木)時点、Google検索で「防音材 メーカー」で上位表示していた52社から、「防音材の品質について受賞歴(※)」があり、「対応できる周波数や騒音レベルの数値測定を公表」しているメーカーの中から選定。
「受賞歴」「数値測定を公表」しているメーカーの中ではそれぞれ…
・静科:19つのラインナップを揃え、一番製品のバリエーションが多く、対応範囲が広い
・ユニックス:大型公共施設の事例掲載が最多(2021年12月16日(木)時点)
・日鉄神鋼建材:道路・鉄道に特化した防音材のラインナップ
(※)防音材の品質で第三者機関から受賞されている(デザイン受賞は除く)