一般的に、人の声の大きさは、ささやくような声で30dBほど。普通の会話は60dB相当、大きな叫び声や歌声は90dB程度です。人が日常生活で「うるさい」と感じる音の大きさは60dB〜だと言われているため、普通の会話でも、音の大きさによってはイライラしてしまうかもしれません。 人の会話やペットの鳴き声、テレビの音などは「空気伝播音」といい、空気を伝わって聞こえてきます。部屋にいて隣の部屋から声が聞こえてくる場合、原因のほとんどは壁だと考えて良いでしょう。
壁の防音対策では、どんな点に注意すれば良いのでしょうか。失敗しないために、チェックしたい3つのポイントをご紹介します。
壁の防音性能は、建物の構造や使用する材料、その厚みなどによって大きく異なります。一般的にはコンクリートは木よりも密度が高いため、木造より鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションの方が防音性が高いと言われますが、S造やRC造だからといって防音が完璧とは言い切れません。
鉄筋コンクリート造(RC造)では、床の構造体にコンクリートを、部屋を区切る戸境壁には、コンクリートや乾式遮音壁を採用しています。また、鉄骨造(S造)では床にコンクリートやACCパネル(軽量気泡コンクリートの板)を採用していますが、施工には高い技術が必要なため、専門業者のレベルによって遮音性に大きなバラつきがあるのです。
壁の防音対策には、吸音材や遮音材を壁に貼るのがおすすめですが、その際に注意したいのが、防音材の材料です。特に、グラスウール。細いガラス繊維を綿状に組み合わせた建築材料で、断熱材としても使用されていますが、実は湿気や水分に弱い上、防音効果はあまり高くありません。屋外での使用はもちろん、室内で使用する場合も湿気などに気をつけた方が良いでしょう。 最近では、発泡樹脂などグラスウール以外の素材で防音材を製造しているメーカーもあるので、チェックしてみて下さい。
注意したいのは、防音材の安全性です。特に、ホルムアルデヒドが含まれている防音材を長く室内で使用していると、健康に悪影響を及ぼす場合があります。防音材を選ぶ際には、F☆☆☆☆(フォースター)をチェックするのがおすすめ。星の数によってホルムアルデヒドの発散量が示されており、一番低いF☆のものは内装材としての使用が禁止されています。
「子供の声が室内へ響き渡り耳が痛い」「子供の声が職員室まで響いて仕事に集中できない」など、子ども特有の高周波帯の音を気にしている幼稚園で、室内用吸音材を取り付けました。ホルムアルデヒドなどの有害物質を発生させない吸音材を採用。室内の空いているスペースへなるべく広範囲に取り付けて対策を行いました。
デザイン事務所のオフィスに防音材を導入した事例。ポールの円筒品をオフィス内に吊り下げることにより、OA機器から発生する騒音を低減。省スペースで、デザイン性を保ちながら間仕切りとしても有効利用することができました
人の会話やペットの鳴き声など、空気を伝わる騒音は、壁に吸音材や遮音材を貼り付けることで軽減することができます。室内に使用する場合は、どんな材料を使っているか、安全性なども良く確認して製品を選びたいもの。
防音専門メーカーの中には、騒音源の現地調査や分析を行った上で安全性にも配慮した提案をしてくれるところがあるので、対策にお悩みの場合は相談してみて下さい。
防音力の高い防音材メーカーをお探しの方へおすすめ!①防音材の品質で第三者機関から受賞されている、②対応できる周波数や騒音レベルの数値測定をし、それを公表している、という2つの基準から、防音材メーカー3社を厳選しました。それぞれ、得意な建物別に分類してご紹介します。
【選定基準】
2021年12月16日(木)時点、Google検索で「防音材 メーカー」で上位表示していた52社から、「防音材の品質について受賞歴(※)」があり、「対応できる周波数や騒音レベルの数値測定を公表」しているメーカーの中から選定。
「受賞歴」「数値測定を公表」しているメーカーの中ではそれぞれ…
・静科:19つのラインナップを揃え、一番製品のバリエーションが多く、対応範囲が広い
・ユニックス:大型公共施設の事例掲載が最多(2021年12月16日(木)時点)
・日鉄神鋼建材:道路・鉄道に特化した防音材のラインナップ
(※)防音材の品質で第三者機関から受賞されている(デザイン受賞は除く)