冷房を作動させると、エアコン本体は室内の空気を集めて室外機へ送り、圧縮機や熱交換器等を経て空気を冷却します。冷却した空気を室外機からエアコン本体へ戻し、エアコン本体から冷たい空気が放出されます。
一方で暖房を作動させると、室外機が外気を集めて熱交換器や圧縮機等を経て空気を暖めます。暖かくなった空気を室外機からエアコン本体へと戻し、エアコン本体から暖かい空気が放出されます。
これらの一連の働きをする際の動作音が、室外機の騒音です。
室内の空気を集める冷房作動時よりも、外気を集める暖房作動時のほうが多くの出力を要するため、一般には冷房よりも暖房の作動時のほうが、室外機の騒音は大きくなります。
快適な暮らしに、エアコンは欠かせません。特に夏場などは、エアコンを常時稼働させておかないと生活できないという方も少なくないでしょう。ですが、実はエアコンの室外機は結構大きな音を立てており、アパートやマンション、工場など大型施設では、近隣住民とのトラブルの元になっています。
音量はdb(デシベル)という単位で表されますが、正常に運転しているエアコンの室外機の音は55〜70㏈(デシベル)ほど。これは大体、「ファミリーレストランの店内」や「普通の会話」と同じくらいの音の大きさなので、多くの人はそこまで気にならないレベルでしょう。 ただし、エアコンが古くなったり故障したり、室外機にゴミがたまっていると、音が大きくなってしまいます。70㏈を超えてくると、音の大きさは「在来鉄道の車内」や「セミの鳴き声」レベル。トラブルにならないうちに対策を行いましょう。
室外機は、その設計上、一定の騒音を出すことを避けられません。しかしながら中には、室外機が設計上の想定を超える大きな騒音を出すことがあります。 たとえば以下のような状況の場合、室外機の騒音は大きくなる傾向があるのでご注意ください。
室外機は屋外に置かれる機器である以上、風雨などの影響から、機器に砂ぼこりや枯葉などが入り込みます。もちろん室外機は、それら砂ぼこり等の影響も考慮されて作られてはいますが、長期間にわたって屋外に置かれていると、徐々に砂ぼこり等が蓄積し、フィルターが目詰まりを起こして騒音を大きくすることがあります。
室外機が地面にしっかりと固定されていないなど、その設置方法に問題がある場合には、室外機の振動によりカタカタとした騒音を発することがあります。
エアコンの劣化、または故障により室外機の騒音が大きくなることがあります。 エアコンの寿命は10年程度と言われているので、騒音が大きくなってきたと感じたならば、購入から何年たっているか確認してみましょう。10年ほどたっているエアコンの室外機から異音が出てきた場合には、買い替えを検討したほうが良いかもしれません。
エアコンの室外機の騒音対策は室外機を掃除する、異物を取り除く、劣化したエアコンを買い替える、室外機を移動する、などさまざまです。室外機の下部に振動を抑える防振ゴムやマットを貼り付けるのも手段の一つ。 気をつけたいのが、反射音です。室外機のファンの位置によっては周囲の壁に反響して大きく騒音が広がってしまう場合があります。その場合は、吸音パネルなどで防音壁を作り、直接の騒音と反響音両方を抑えます。
室外機の振動が騒音の大きな要因と考えられる場合には、室外機の足元(台との接地面)にブロックと防振ゴムを設置すると効果的です。ゴムは振動をよく吸収するため、効果的に騒音が抑えられます。
ホームセンター等で販売されているブロックや防振ゴムを購入すれば、簡単なDIYで騒音対策を行うことができます。
室外機本体や室外機の周辺を掃除することで、騒音が小さくなることもあります。
室外機の本体は、ほうきでホコリなどを落としたり、濡れ雑巾で拭いたりなどして汚れを落としましょう。室外機の周辺も、ほうきを使って枯葉や砂ぼこりを取り除きます。
なお、室外機の内部は複雑な構造をしているので、ぜったいに分解しないようにしてください。
個人宅の大型室外機の防音施工事例です。家のベランダに室外機を設置してあるお宅でしたが、すぐ向かいに隣の住まいが近接しており、室外機特融の低い音が響いてしまうとのことでした。室外機の高さが1500mm程あり、防音壁一枚では音が回り込んできてしまうため、屋根付きの防音壁を設置しました。
SRCのSRダンパー(制振シート・遮音シート)の導入で、エアコンが発する騒音を抑制した事例です。コンプレッサーに対して、遮音・吸音フェルトを組み合わせることで騒音を防止。制振シートを貼ることで振動を抑えることもでき、製品の騒音・振動対策に大きく貢献しています。
エアコンの室外機は、設置する場所や機械の状態などによって、不快な騒音を発生させる場合があります。簡単な対策もありますが、効果が見られない場合は、吸音パネルや防音ボックスなどを設置するのがおすすめです。メーカーの中には、騒音源の現地調査や分析を行った上で提案を行ってくれるところもあるので、対策にお悩みの場合は相談してみて下さい。
防音力の高い防音材メーカーをお探しの方へおすすめ!①防音材の品質で第三者機関から受賞されている、②対応できる周波数や騒音レベルの数値測定をし、それを公表している、という2つの基準から、防音材メーカー3社を厳選しました。それぞれ、得意な建物別に分類してご紹介します。
【選定基準】
2021年12月16日(木)時点、Google検索で「防音材 メーカー」で上位表示していた52社から、「防音材の品質について受賞歴(※)」があり、「対応できる周波数や騒音レベルの数値測定を公表」しているメーカーの中から選定。
「受賞歴」「数値測定を公表」しているメーカーの中ではそれぞれ…
・静科:19つのラインナップを揃え、一番製品のバリエーションが多く、対応範囲が広い
・ユニックス:大型公共施設の事例掲載が最多(2021年12月16日(木)時点)
・日鉄神鋼建材:道路・鉄道に特化した防音材のラインナップ
(※)防音材の品質で第三者機関から受賞されている(デザイン受賞は除く)